令和5年度「過労死等の労災補償状況」の公表

厚生労働省から、令和5年(2023年)の過労死等の状況の発表がありました。

過労死等に関する請求件数は、4,598件と前年度比1,112件の増加です。

また、支給決定件数は1,097件であり、前年度比193件の増加です。

うち死亡・自殺(未遂を含む)件数 135件前年度比14件の増加です。

請求件数、支給決定件数も過去最多です。

(なお死亡の件数はもっと多い時がありました。)。

 

脳・心臓疾患

請求件数は1,023件で、前年度比220件の増加。

   うち死亡件数は前年度比29件増の247件。

支給決定件数は214件で前年度比20件の増加。

   うち死亡件数は前年度比4件増の58件。

 

精神障害

請求件数は3,575件で前年度比892件の増加。

  うち未遂を含む自殺の件数は前年度比29件増の212件。

支給決定件数は883件で前年度比173件の増加。

  うち未遂を含む自殺の件数は前年度比12件増の79件。

 

すべてにおいて、2022年を上回っています。

 

 厚生労働省は、増加した原因について次のように述べています。

「厚生労働省の担当者は、「脳や心臓の病気については、55歳以上の労働者が増えたことが関係していると考えられる。また精神疾患については、過労死やパワハラへの認識、理解が進んだため、申請が増えたのではないか」と説明しています。」(日本テレビニュースより)

 

 脳・心臓疾患については令和3年に認定基準が改定されています。また、精神障害は、令和5年9月に認定基準が改定されています。その影響もあったのではないかと考えられます。

 

 認定率は

 脳・心臓疾患 全体の認定率は 32.4%(昨年は38.1%)

        死亡の認定率は 31.0%(昨年は32.1%

  精神障害  全体の認定率は 34.2%(昨年は35.8%)

        自殺の認定率は 46.5%(昨年は43.2%)

 脳・心臓疾患の認定率が2023年より下がっているのが気になります。死亡については過去5年で最低です。

 自殺の認定率は高くなっています。

 

 なお、愛知県のデータを見ると

脳・心臓疾患 請求件数は77件、うち死亡は13件

       支給決定件数は15件、うち死亡は3件

精神障害   請求件数259件 うち死亡は17件

       支給決定件数は62件 うち死亡は4件

という状況です。やはり精神障害が多いですね。自殺の認定数が請求件数に比べて少ないように思います。