厚生労働省が、2023年(令和4年度)の過労死等の災害補償状況を公表しました。
令和4年度「過労死等の労災補償状況」を公表します|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
1 脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況
(1)請求件数は803件で、前年度比50件の増加。
うち死亡件数は前年度比45件増の218件。
(2)支給決定件数は194件で前年度比22件の増加。
うち死亡件数は前年度比3件減の54件
(3)認定率
38.1% 昨年 32.8%
昨年よりアップしています。
うち死亡認定の認定率は
38.8% 昨年 33.7%
認定件数が多くなっているのは残念です。
死亡事案は減少しています。
その上で死亡事案も認定率はアップしています。
ただ、請求件数は、死亡事案も増えていますから、令和5年になって過労死認定の数も増えるのでは
ないかと心配されます。
認定基準が改訂されて1年たちました。その影響もあると考えられます。
2 精神障害に関する事案の労災補償状況
(1)請求件数は2,683件で前年度比337件の増加。
うち未遂を含む自殺の件数は前年度比12件増の183 件。
(2)支給決定件数は710件で前年度比81件の増加。
うち未遂を含む自殺の件数は前年度比12件減の67件。
(3)認定率
35.8% 昨年 32.2%
うち死亡認定の認定率は
43.2% 昨年 47.3%
請求件数、認定件数は増えています。請求件数が337件も増えているのはおどろきです。20年前
は、一年間の請求件数が300件を少し上回っていました。2001年は全体で264件の請求件数で
した。
認定されたものの多くは、パワーハラスメント、いじめ、いやがらせ、上司とのトラブルであり、こ
れらで全体の4割程度を占めています。パワーハラスメントをなくす対策が必要です。
なお、令和4年度に、審査請求、再審査請求、行政訴訟で,不支給が取り消された件数は
脳・心臓疾患は 9件 (うち死亡6件)
精神疾患は 25件 (うち死亡1件)
過労自殺案件で、審査請求、再審査請求、行政訴訟で取り消された件数は全国で1件しかありませんでした。
件数が減る方が望ましいのですが、増えているのは悩ましいところです。
これが権利を行使し、救済される件数が増えているので、どこかで過労死等が実際にも減少し、請求件数も減少していくといいとおもいます。当面は、さらなる救済を求めていくことが必要かと思います。
厚生労働省の発表を元にグラフにしてみました。
精神障害の請求件数と認定件数が年々上昇していることがわかります。
脳/心臓疾患はやや減少系傾向です。