2021年を振り返って

 ことし1年。私が担当していないのですが、愛知県では、名古屋高裁の4月28日判決、9月14日判決がありました。いずれも、1審では労災と認められなかった事件が、高等裁判所で判断が覆りました。希望がもてる判断だと思います。

 

 近年、認定基準の改定により、1980年代、90年代の事案に比べて、過労死等の認定はされやすくなりました。一方で裁判所の判断は画一的になってきており、行政の主張を追認するようになってきました。裁判で勝利することは難しくなっています。

 

 そのなかで、この二つの判決は、理性的な判断で、行政の政策的な判断を覆し、司法の本来の意義を果たした判決といえます。

 

 私自身も、労災認定を得て記者会見をできた事件もありました。

また、長く争ってきた過労死事件がいくつか解決しました。ご家族にとっては、大切な人が亡くなったことにかわりがありませんが、一つの区切りにして進んでいっていただければと思います。

 

 一方で、新たな事件の相談もありました。今年、亡くなった方の事件もありました。過労死がなくなっていかないことを残念に思います。救済のために尽力したいと思います。

 

 引き続き判断を待っている事件があります。年度末に向けて、良い判断がなされるようにと願っています。

 

 脳・心臓疾患の認定基準が改定されました。これまでよりも、労働時間以外の事情も考慮される内容になっています。これを生かして判断してもらうように努力していきたいです。

 

 さらに、精神障害の認定基準の専門検討会が始まりました。これまでの認定基準に不当なところが改定されるように努力していこうと思っています。

 

 これらの認定基準の改定により、救済されるべき人が、早期に救済されなければなりません。