岩井羊一法律事務所は、2013年(平成25年)10月1日に開設しました。
今年満5周年を迎えました。
この間、過労死事件、すなわち過労死等(過労死、過労自殺、脳・心臓疾患、精神疾患)で亡くなったり、仕事ができなくなったりした方の救済することを中心に弁護士活動をしてきました。
事務所を設立してからの5年間、過労死を巡り大きな動きがありました。
2014年6月には、過労死等防止対策推進法が成立し11月に施行されました。
11月の啓発シンポ。そして、学校への啓発事業等、過労死弁護団が対外的にも役割を持つようになりました。今年の11月は4回目です。
「過労死」が法律で定義され、国がその言葉を使うようになりました。
2016年には、電通の女性の新入社員の自殺事件が大きな社会問題として注目を浴びました。これを契機に働き方改革が叫ばれるようになりました。労災認定、会社の謝罪にとどまらず、刑事事件にも発展しました。
2018年、大変不十分な働き方改革関連の法が成立しました。
2018年、過労死弁護団全国連絡会議は丸30周年。
過労死等の認定基準について改定の意見書を作成し、厚生労働省に提出しました。
ここからは個人的なことを少し紹介します。この間、いくつか勝訴判決を得ました。すでにホームページで紹介していますが、以下がこの間に得た判決です。
2014年1月25日、名古屋地方裁判所で過労自殺事件の損害賠償請求事件で勝訴。
2016年4月21日、名古屋高裁でバスの運転士の自殺事件で逆転勝訴。
2015年11月18日、名古屋地裁で、うつ病の悪化に業務起因性を認める自殺事件での勝訴判決。
2016年12月1日に高裁もそれを維持。
2017年2月23日、名古屋高裁でトヨタ系列会社の過労死事件で逆転勝訴。
2016年12月22日、岐阜地裁で、岐阜市職員の自殺事件の公務災害を認める勝訴判決。2017年7月6日これを維持する判決。
もちろん、これらの判決はいずれも弁護団事件で、他の弁護団の活動によるところも多いのです。いずれも家族をなくした不幸な事件でしたが、仕事が原因であることが認められました。
この間、公益法人愛知県労働協会の労働法講座で講師をしたり、講演会を担当させていただく機会もいただきました。
精神障害の労災認定件数は、毎年増加傾向にあります。脳・心臓疾患の労災認定件数も横ばいで減少傾向にあるとはいえません。
途中で請求を断念した事件もありました。認められなかった事件もありました。
そう言った事件を含めて、多くの遺族が勇気を出して立ち上がったことが、企業に対し、責任を認めさせることにつながり、過労死等の防止につながっています。
それでも過労死等が増加傾向にあるのは残念です。
つい先日も三菱電機では、「過去5年間に長時間労働などが原因で精神障害や脳疾患を起こし、2014~2017年に労災認定された男性社員5人のうち、3人に『裁量労働制』が適用され、1人は過労自殺していたことがわかった。」との報道がありました。
これからも、過労死等の問題を中心に、過労死等の被害者の救済と過労死等の予防をするために活動していきます。