村山由佳さんの「風は西から」(幻冬舎)という小説を読みました。
過労自死の小説があるということを、ネットのニュースで見ました。もともと新聞小説として連載されていたものとのこと。申し訳ないことに、村山由佳さんを存じ上げませんでした。2003年の直木賞作家。恋愛小説を書かれている方だそうです。
過労自死の事件がどう小説になっているのか読んでみたいと思い購入しました。
物語のすすめかた。物語の構成力。それに現実感をも立たせる描写。
作家の力を感じました。
この本の帯には次のように記載されています。
「大手居酒屋チェーン「山背」に就職し、繁盛店の店長となって張り切っていたはずの健介が突然、自らの命を絶った。なぜ彼の辛さをわかってあげられなかったのかー恋人の千秋は悲しみにくれながらも、同じく息子の死の真相を知りたいと願う健介の両親と協力し、「労災」の認定を得るべく力を尽くす。…」
健介さんが命を絶つのは、この本のちょうど真ん中あたり。そこまでの様子を克明に画いていく前半に読み応えのありました。
過労自死が、小説になるほど社会に認知されることに、残念な思いもあります。
けれども、このような小説が多くの人に読まれることにより、過労自死の問題を多くの人に知ってもらうことができるのであれば、良いことだと思います。