過労死ゼロの社会を 高橋まつりさんはなぜ亡くなったのか 高橋幸美、川人博 著 連合出版 を読みました。
もうすぐクリスマスです。クリスマスには、毎年悲しい事件を思い出さなければなりません。高橋まつりさんは、2015年12月25日に自死しました。
この本は、その2015年12月25日に自死した電通の高橋まつりさんのお母さんの高橋幸美さんと、高橋まつりさんの自死を過労自殺だとして労災申請をし、さらに電通との交渉を担当した川人博弁護士の共著の本です。
内容は、高橋まつりさんの労働状況について分析した川人博弁護士の執筆部分。そして、高橋祭りさんの生まれてから亡くなるまでを記したお母さんの手記からなります。
電通との合意に従って行われた電通における川人博弁護士の講演の内容が収録されています。
高橋まつりさんの写真もたくさん収録していて、故人の様子が伝わってきます。幸せそうな写真、楽しそうな写真に、一人のかけがえのない人生がわずか24年で終わったことの無念さ、悲しさが伝わってきます。人の命のたいせつさが伝わってきます。
川人弁護士執筆部分では、電通が、入退場の時間管理のシステムをもっていながら、その記録を労働時間と数えさせないというやり方行われていたこと。
明らかな長時間労働であったことをだれも止めようとしないこと。
電通におけるパワハラ、セクハラの実態。
これらを詳しく指摘しています。
電通が、労基法違反で起訴された刑事裁判の内容も紹介されています。
高橋さんの事件の全てが書かれている本となっています。
社会に出ようとしている若い人にも是非読んでほしいと思います。そして、会社や組織で人を使っている人にも是非読んで欲しい本です。
過労死を取り扱っている弁護士としては、川人博弁護士がどのように調査をし、労災認定につなげていったのかという実務的な観点からも参考になりました。
高橋まつりさんの短い生涯が、世の中のかわるきっかけとして活かされることを祈ります。