岐阜地方裁判所 平成28年12月22日判決
2016年12月22日、岐阜地方裁判所(眞鍋美穂子裁判長、杉村鎮右裁判官、足羽麦子裁判官)は、岐阜市役所の職員の遺族が提訴した、地方公務員災害補償基金岐阜県支部長の「公務外処分」の取り消しを求めた裁判において、地方公務員災害補償基金岐阜県支部長の行った公務外処分を取り消す判決を言い渡しました。
原告の勝訴です。職員が亡くなったのは平成19年ですから、亡くなってからは9年目の判決でした。
西濃法律事務所の笹田弁護士、綴喜弁護士が担当していた事件で、途中から私が弁護団から参加しました。
判決は、「亡Aは、業務の面からも、人間関係の面からも、精神的負荷のかかった状態にあり、肉体的にも精神的にも疲労のたまっている状態であったところ、本件遊具の設置問題があり、後閲問題が発生し、後閲問題により、自尊心を深く傷つけられ、この問題による亡Aへの精神的負荷は、それ以前の部長との関係から生じた精神的負荷や日常業務による肉体的、精神的疲労とも合まって、極めて強いものであったと認められる。」
「亡Aは強度の精神的負荷を与える事象を伴う公務に従事したため、遅くとも同年11月頃までには抑うつ状態となったということができ、亡Aが従事した公務と上記精神疾患との間には相当因果関係が認められる。」
「本件災害当時抑うつ状態にあった亡Aは、抑うつ状態という精神という精神状態から、本件災害当日に発生した岐阜公園内での事故の報告を受けたことを引き金に、突然発生する事故等にこれ以上耐えきれなくなり、発作的に岐阜市役所8階から飛び降りて、本件災害が発生したものと認められるから、上記精神疾患と本件災害との間の相当因果関係は肯定することができる。」と判示しています。
判決は、強い精神的負荷があったことを認めていますから、地方公務員災害補償基金の定める「認定基準」によっても公務上災害と認められるものと判断しているものと理解できます。その内容は極めて明快です。これまで職員の方が亡くなってから9年の歳月が経過しています。理由のない控訴は、いたずらに確定を遅らせ、遺族に心労を与えるだけです。
地方公務員災害補償基金が、岐阜地方裁判所の判決を尊重し、控訴をせず、早期に公務上の災害であると認定するよう望みます。