今週は、過労死についてあらためて考えさせられる1週間になります。
11月7日、電通の過労死事件に関連して、電通に強制捜査がされました。
NHKの取材を受けました
7日の朝、NHKの名古屋放送局から電話があり、電通に強制捜査が入り、名古屋の支社にも同時に強制捜査がなされた。過労死に関して取材をしたいとの申し入れがありました。
取材の趣旨は、現在の過労死の状況はどうか。どの様な年代の人に多いのか。東海地方の特徴があるのか、過労死をなくすためにどうすれば良いのか聞かせて欲しいというものでした。
そして、記者の方とカメラマンのかたがこられカメラのまえでコメントをしました。
名古屋放送局の取材ですから地方の状況、地方の特色について特にコメントを求められました。
過労死の状況
一弁護士が、当地の労災の状況を全部つかんでいるわけではありませんので、感想程度のお話ししかできませんが、一つの特徴として電通の高橋まつりさんのように、入社して間もないかたが過労死した事件を担当したことがあります(スギヤマ薬品事件)。このような裁判例になったもののほかにも、いくつかの相談は、入社して一年以内の方でした。裁判例でも、就職してまもなくのかたが過労死、過労自殺する例があります。
当地の特徴ですが、これについては、ありきたりではありますが当地はものづくりの産業が盛んですから、これらの製造業に関わる事案があることをお話ししました。
現在、私が担当している事件も、自動車会社の2次下請けの件があります。
自動車会社の事件では、創意くふう提案、QCサークル活動が業務をしていた時間になるかどうかが争われました。
裁判所は、労災認定を判断する上では労働時間であると認めました。また、無駄をなくし効率を求める職場は、一つ間違えれば強いストレスを受けて精神疾患を発症させるリスクがあるともお話ししました。
三番目に過労死をなくすためにどうしたら良いのかについては、労働時間の上限を定めるべきだと指摘しました。
なぜなくならないかと言うことについては、すでに企業が労働者のサービス残業を組み込んで利益を見積もっているから簡単ではないとコメントしました。
企業は、人件費を法律を守って計算し、あらためてかかる人件費をただしく支払って企業活動をしなければならないことを自覚するべきだ。実際には人件費はもっとかかるんだということを自覚し、収益の仕組みを考えるべきだと指摘しました。
「過労死や過重労働など愛知県内の労働を巡る相談や裁判を数多く担当している名古屋市の岩井羊一弁護士は「製造業が盛んな愛知県では業務の効率化を求める企業が多いが、社員の性格や適性を踏まえず、これを一律に強く求めていくと人によってはパワーハラスメントやストレスと感じる場合がある」と指摘しています。
さらに、「経営側は、長時間残業や休日出勤をいとわず、無理をしてでも働こうとするかつては美徳された気構えに甘えている部分がある。しかし、これは過労死にもつながる働き方であって、大変危険な状態で改めるべきだ」と注意を呼びかけています。
そのうえで、「労働組合と経営側の間で時間外や休日の勤務に関わる協定を結んでいても労働者は弱い立場なので実態は違うところが多い」として、「長時間労働を規制する強制力を持った法律の整備も必要ではないか。経営側には規制の範囲内でしか従業員を働かせられないという意識を根付かせるようにすべきだ」と提言しています。」
2016年11月7日 NHKニュース
過労死等防止対策推進シンポジウム 東京
11月9日は、東京で、過労死等防止対策推進シンポジウムが開かれました。電通の社員で亡くなった高橋まつりさんのお母さんが、娘さんのことをコメントされました。報道関係でも大きく取り上げられました。
出席はしていませんが、報道でそのお母さんのコメントを見ても本当に悲しい,悔しい気持ちになりました。
「11月になり、25年前の過労自殺の記事をもってきて、「こうなりそう」と言いました。私は「死んじゃだめ」何度も言いました。」
「私には、「上司に,移動できるか交渉してみる。できなかったら辞めるね。」と言っていましたが「仕事を減らすのでもう少し頑張れ」ということになったようです。」
SOSを発信しながら、自殺してしまう。
過重労働の恐ろしさを感じます。
発症した病気は、彼女を死へと追いやったのでしょう。
岐阜でも過労死等防止対策推進シンポジウム
11月12日土曜日には岐阜で,過労死等防止推進シンポジウムを開催します。
いくつかの事例の報告があります。私も岐阜県職員の過労自殺について報告させていただきます。
たくさんの方に過労死が、大変な悲劇であることを知ってもらいたいと思います。